船からのレポート(3)-あと5年で世界は変わるか ~ケニアにてアフリカユースフォーラム始まる~

2010年1月20日

MDGsの達成期限まで、あと5年

世界を変えるための8つの方法 ― 一見簡単そうに聞こえるが、世界の国々はそれらを実現させる約束を果たせないでいる。地球規模の不平等に立ち向かうべく、国を越えた協力体制を築くという約束だ。2015年までに貧富の格差を縮め、食や教育、健康などの基本的人権を保障する8つの目標「ミレニアム開発目標(MDGs)」は、2000年に行われた国連ミレニアムサミットにて、189カ国のリーダーのもとで採択された。

ピースボートMDGsキャンペーンコーディネーター高山瑤子によると、これら8つの目標は人間の安全保障や人間の尊厳に関わる問題である、という。これらの目標は「別々に語られることの多いあらゆる問題をつなげるもの」であり、「持続可能な社会と平和な未来は、さまざまな問題が互いに深く関わり合っていることに気づかない限り達成することはできない」、と高山氏は述べる。

モンバサにて行われた船上の記者会見にて、高山氏は、ピースボートは地球一周の船旅と寄港地でのアクティビティをとおし「人と人をつなげる」ことを目的としており、特に今回の船旅では期限までにMDGsが達成されるよう市民社会を盛り上げていくことを目指している、とキャンペーンの意義を説明した。

(右から)マウラ・カーラ氏、高山瑤子氏、エマニュエル・エドゥジエ氏、ルース・カンゲラ氏

高山氏によると、第68回クルーズでは二つのMDGs関連プロジェクト「アフリカユースMDGsフォーラム」および「MDGsダンスプロジェクト」を行うという。

119日から28日の間に開催される「アフリカユースMDGsフォーラム」は国連ミレニアムキャンペーン(UNMCとの協力の元行われており、このようなフォーラムを開催するのは今回で二度目となる。

ピースボートは各寄港地でMDGs達成に向けた署名やメッセージも集めている

ウガンダ、タンザニア、南アフリカ、マラウイなどのNGOやユース組織から9名の若者が集まり、これからの洋上でユーストレーニング、キャパシティ・ビルディング(能力強化)などを行いつつ、「ディーセントワーク(働きがいのある人間らしい仕事)」などの観点から、MDGs達成のために若者ができることを話し合う。

フォーラムのファシリテーターとして乗船するUNMCのマウラ・カーラは、「人は単に雇用があればいいのではない。きちんとした報酬や社会保障システムが保証される雇用が必要なのです」と主張した。

ダンスチームメンバーはMDGsの普及とともに貧困や開発について学んでいる

船がケープタウンに到着した後、フォーラム参加者はそれぞれの出身国に帰ることになる。洋上で採択される「アクション・アジェンダ(提言書)」をそれぞれの出身国政府に届け、また、ピースボートも日本政府に同提言書を持って行くことになっている。

世界有数の経済力を持つ日本は、政府開発援助(ODA)の質・量をともに改善させ、世界の貧困の解決のためにより貢献していく責任がある、と高山氏は述べた。

今日までに、援助を約束した多くのドナー国がその約束を果たしていない。例えば、2008年までにアフリカ諸国が受け取った額は、3年前に約束された額を200億ドルも下回っているという。

2009年のMDGs年次報告書によれば、世界的な金融危機が次の5年以内に目標を達成する妨げになっているという。「目標達成に向けた前進は今、経済成長の低迷(さらにはマイナス成長)、資金の縮小、開発途上国にとっての貿易機会の減少、および、援助国からの資金供与削減のおそれによって脅かされています」。

モンバサ寄港の前日、ダンスチームは船内で完成したダンスを披露した

フォーラム参加者の一人は、若者や地元で地道に活動する人々の力こそが目標達成を実現させるのだ、と強調した。「このフォーラムの目的のひとつは、それぞれの地域で行われている若者の活動を共有すること」、ガーナのNGOユース・エンパワメント・シナジー(YES)」のエマニュエル・エドゥジエは言う。エドゥジエ氏によれば、若者がひとつになりMDGsを達成するよう共に政府に働きかけることで、過去10年に達成されたことよりも多くのことを次の5年で達成することが可能だろう、という。

ピースボートはMDGsキャンペーンの一環として、リーダーの金希泉率いる「MDGsダンスプロジェクト」も行っている。船旅で訪れる先々でMDGsの理解を広げるだけでなく、船旅に参加する若者の意識も高めていくことがねらいだ。「ダンスの練習を通じて、参加者はMDGsのことをもっと知りたいという気持ちになってきている」と金氏。ダンスの練習をしていないときは、MDGsに関する勉強会などを船内で行っているという。

(第68回クルーズウェブリポーター ニック・ローガン)

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